プログラム・プロブレム

ティータイム 4 開発支援ツール(情報管理編)


I はじめに

涼(以下S):涼(すず)と…
初(以下H):初(はじめ)の…
S:プログラミング入門コーナー
H:プログラム・プロブレム!
S:というわけで、ティータイムも四回目となりました。
H:今回もプログラムに有用な関連ツールの話だ。

II チケットシステム(ITS、BTS)

概要

S:まずはチケットシステムというかバグ追跡システムというかのお話です。
H:英語だと「Issue Tracking System」だったり「Bug Tracking System」だったりだな。
S:要は、ある用件についての状況を追跡できるシステムのことです… って分かりませんよね?

H:バグ追跡システムの方が例にしやすいな。そっちで話すか。
S:まずバグ報告が上がってきますね。動作環境とか発生条件とかが付いて。
H:それを一つの項目として登録するわけだ。この時、細かい情報とかメモも書ける。
S:次にバグを担当者に割り当てるわけです。これで「バグA:未着手:担当者T」とかになります。
H:それで担当者はアレコレやって調査と修正を試みるわけだな。状況は「バグA:調査中:担当T」になる。
S:修正が済むと「バグA:修正済み:担当M」で確認待ちとかになるわけです。
H:そこで担当のM氏が確認を済ませると「バグA:完了」で無事にバグAへの対処完了となる。
S:こんな感じで、あるバグに対する状況を追跡・保存しておくシステムが BTS です。

H:これをバグ対策だけではなく、一般化したものがチケットシステム(ITS)だ。
S:付加する情報や状況名などをカスタマイズして、要件に合わせて使うわけです。

フリーの実装

H:一番有名なのは Bugzilla かね。Perl で書いてあって、MySQL/PostgreSQL/Oracle 対応だそうだぞ。
S:Mozilla の開発で使われてるので、大規模プロジェクトにも対応してるってことですね。
H:その他には PHP で書かれた Mantis とか、Java の Scarab とかもあるな。
S:どっちも MySQL が必要なんですね。Scarab は他にも Maven や Tomcat が必要、と。
H:手軽さとしては Ruby でデータベース不要の影舞があるぞ。
S:難点は1000チケットくらいを越えると重くなるらしいことですか。
H:RDBMS 使ってないんだから仕方無いと言えば仕方無いかもな。

III Wiki

S:詳細な説明は他を参照していただくとして「誰でもいつでも書き換え可能なサイト」が Wiki です。
H:ブラウザでサーフィン中に、間違いとか追加した方がいい内容に気が付いたら、すぐ書き換えられるんだぜ。
S:書式も定義されていて、HTML が書けなくても比較的簡単に文字を装飾できます。
H:実際のシステムは各言語で、様々な実装があるから、色々探してみるといいぞ。
S:ローカルマシン上でファイルを開くだけの個人用 Wiki もありますね。
H:メモとかには便利らしいな。あとスケジュール管理にも使えるとか。

IV プロジェクト管理

S:最後はプロジェクト管理システムです。
H:名前だけ聞いても何ができるのか分からんな。
S:これは主にプロジェクトで行うべき仕事(タスク)の状況を追跡管理できるソフトウェアですね。
H:II で説明した ITS/BTS とは、また管理すべき対象が違うわけだな。
S:ええ、あちらはある項目(話題)についての追跡管理ですが、こちらはスケジューリングが目的です。
H:仕事内容(タスク)や資源(リソース)の分配・スケジュールを行うためのツールってことだ。
S:計画した後、実際の状況確認にも使えます。予定より進んでるとか遅延してるとかですね。
H:Web ベースのものがほとんどだから、サーバが無いと設置できないのが問題かもな。
S:最近はレンタルサーバなども安くなっているので、そういうのを利用するといいかもしれませんね。

V 統合ツール

H:さて、色々紹介してきたが、実は上の奴らをまとめたツールも存在する。
S:ITS/BTS、Wiki、プロジェクト管理、グループウェアなど、様々な機能が含まれています。
H:そんな中から二つを紹介しておこう。

S:まず trac は ITS/BTS、Wiki、プロジェクト管理、VCS などをまとめたサーバツールです。
H:VCS には Subversion の他、Git、Mercurial、Bazaar などが使えるぞ。
S:その他にテスト管理サーバとして TestLink との連携もできるそうです。
H:ちなみに、開発言語は Python だそうだ。
S:また、Windows での環境構築には trac lightning が便利です。
H:必要なものがまとめて入ってるからな。セットアップ一発で使える。試用にいいな。

S:もう一つは Ruby で書かれた Redmine です。
H:こっちも ITS/BTS、Wiki、プロジェクト管理、VCS の他に ニュース、ドキュメント管理、掲示板 が使えるぞ。
S:ガントチャートも見られるみたいです。かなり高機能ですね。
H:近頃評判の Ruby on Rails で作られてるそうだ。設置も楽かもな。
S:やっぱりサーバが無いと置けないのは難点ですね。

VI 終わりに

H:ソフトウェア開発では trac が有名で、Redmine が追いかけてる状態だな。
S:どちらも機能が豊富で、一度セットアップすれば複数プロジェクトで使えますからね。
H:ソフト開発以外でも ITS やプロジェクト管理は使えると思うぜ。
S:興味を持ちそうな人がいたら教えてあげてくださいね。
H:さて、次回は何をやるのかね…
S:それよりも、この発行ペース(一日一話)がいつまで維持できるのかが心配です。
H:そんなわけで、また次回だ。
S:さようなら。

ティータイム 4 終了


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