ぷろぐらむ・ぷろぶれむ・ぷらいむ

2限目 世界は 3つでできている


お姉ちゃんの帰還 @ 天乃家リビング

涼:(ガチャ)ただいま。あら、いらっしゃい伸ちゃん。
す:おじゃましてまーす。
こ:あ、お姉ちゃん、お帰りなさい。
ひ:涼姉ぇ、疲れてる?
涼:あら、よく分かったわね。今日は学校で模試があったの。
す:え?「もし」があった?
涼:あ、模試って言うのは、うーん…日本のみんなで受けるテストかな。
ひ:日本のみんな? それはすごい。
こ:大変だったのね。(カップを置いて)はい、いつものブラックコーヒー。
涼:ありがとう、憩。あ、そう言えば伸ちゃんは、この前「プログラム」が何か聞きに来たのよね?
す:うん。かげちゃんとひなちゃんが教えてくれた。
涼:それで、「プログラム」が何だか分かった?
す:えーと…「コンピュータの言葉で書いたお願い」のことだって。
涼:そうね。よく分かってるわね。偉い偉い。(伸の頭をなでる)
こ:教えてもらった通りに説明したのよ。
ひ:そう、がんばった。
涼:そうなの。二人ともご苦労さま。(二人の頭もなでる)

お願いするツインズ

ひ:ご褒美にパンケーキが食べたい。
す:僕も涼お姉ちゃんのパンケーキ大好き。
こ:わたしも食べたいな。お姉ちゃんお願い。
涼:わかったわ。ちょっと時間かかるわよ。
(三人):わーい!
涼:あ、二人には「プログラムの材料」の話はしたかしら?
こ:ええ。たしか…「材料は…」
ひ:「…3つ」だったかと。
す:え、3つだけ?ホント?
涼:そうなのよ。じゃあ、あなた達はおやつができるまで、伸ちゃんにも話してあげて。
こ:はぁい。
ひ:まかせて。

こ:じゃあ、1つめからいくね。
ひ:1つめは「お願い」。「命令」とも言う。
す:「お願い」って「ぷろぐらむ」のこと?
ひ:んー、似てるけどちょっと違う。
こ:今話してるのは「コンピュータが分かる小さなお願い」だから…
ひ:「ぷろぐらむ」は、この「小さなお願い」がいっぱい集まってる。
す:うーん…
こ:えーとね「小さなお願い」が「卵を割る」「小麦粉をふるう」みたいな感じなら…
ひ:「ぷろぐらむ」は、それを集めて「ケーキを焼く」とかになる。
こ:ホントはコンピュータには手が無いから、ケーキは焼けないけどね。
す:涼お姉ちゃんならうまく焼けるね。
ひ:うん、涼姉ぇのケーキはすごくおいしい。
涼:(キッチンから声だけで)なぁに? パンケーキはもう少しかかるわよ。
こ:はーい、待ってまぁす。
ひ:そんなわけで、材料の1つめは「小さなお願い」だと。
す:涼お姉ちゃんじゃなくて、コンピュータの「小さなお願い」ってどんな感じなの?
こ:うぅん、「画面に線を描く」とか「マウスのボタンが押されたか調べる」とか…
ひ:足し算とか割り算みたいな「計算」もできる。
す:ふーん、なんとなく分かった。次は何?

もし? もしも… もしもし!

ひ:次は「もし」。難しい言葉だと「じょうけんぶんき」らしい。
す:それって「もし○○だったら××」のこと?
こ:そうよ。すー君、当たり。
ひ:さすが私の見込んだ…あゎゎ。(口をおさえる)
こ:?どうしたの、ひなた?
ひ:何でもない。こかげは続きを。
こ:そう?じゃあ、もしも「もし」が無かったらどうなるかしら?
す:うぅーん、分かんない。どうなるの?
ひ:もし「もし」が無いと、「ぷろぐらむ」は、どんな時でも同じことをする。
こ:すー君の好きなゲームだと、ボタンを押しても押さなくても、ずっと同じになっちゃうの。
す:えー、それは困るよ。それじゃ、ぜんぜん面白くないもん。
ひ:そこで「もし」を使う。「もしボタンが押してあれば」の時と、そうじゃない時を分けられる。
こ:「もし押してあればジャンプする」「もし押してなければジャンプしない」みたいになるわね。
す:そうか!「もし」が使えないと、「ジャンプする」か「しない」かのどっちかに決まっちゃうんだ。
ひ:すすむ、当たり。それじゃあゲームにならない。だから「もし」を使う。
す:「もし」って大切なんだね。よく分かったよ。

回る回るよ ループは回る

ひ:じゃあ最後の 3つめにいく。
こ:3つめは「くりかえし」ね。これは英語で「ループ」とも言うのよ。
す:これは分かるよ。「○○回くりかえす」んでしょ。
こ:すー君、正解。すごいわ。
ひ:ただ、他にも種類がある。
こ:ひとつは「○○である間ずっと」ね。
ひ:もうひとつは「(たくさんあるものの)それぞれに一回ずつ」のパターン。
す:「○○の間ずっと」は分かるけど、ひなちゃんの「それぞれに一回ずつ」ってどういうの?
こ:うーんとね、これはむずかしいのよ。
ひ:たとえば、今テーブルの上にコップが3つある。これを全部、一回ずつ味見するとか。
す:それって、コップ3つだから、3回くりかえせばいいんじゃないの?
こ:今は3つだけど、お姉ちゃんのがあったり、誰かが片付けたりすると数が変わるでしょ?
ひ:ぷろぐらむに3回って書くと、2個とか5個とかの違う数の時に困る。
こ:でも「テーブルの上のコップそれぞれに一回ずつ」にすると、全部でいくつになっても大丈夫なの。
す:へー、たしかにそうかも。「くりかえし」は、この3種類なの?
ひ:涼姉ぇによると、ホントは「○○の間ずっと」ひとつだけでも他のふたつを作れるらしい…
こ:でも、それだと大変だから3種類とも簡単に使えるようにしてることが多いんだって。
す:ふーん、なるほど。
ひ:というわけで、「ぷろぐらむの材料」3つについては終わり。
こ:復習すると「小さなお願い(命令)」「もし(条件分岐)」「くりかえし(ループ)」ね。
す:よーし、3つとも早く覚えよっと。ありがとうね、かげちゃん、ひなちゃん。
こ:どういたしまして。あっ、ちょうどパンケーキができたみたいね。
涼:お待たせー。うまく焼けたわよ。(料理を配る)
ひ:涼姉ぇのパンケーキはひさしぶり。おいしそう。
涼:じゃあ、皆でいただきまーす。
三人:いただきまーす。

(おいしいパンケーキを食べながら雑談にうつる)

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