2.ACE のビルドと使い方
2.2 ACE 配布物ガイド
ACE のソースコードは、本家の「Obtaining ACE」からダウンロードすることができる。
入手したファイルを展開すると ACE_wrappers フォルダ以下に各種のファイルが収められている。例えば、VERSION ファイルには取得した ACE のバージョン情報が書かれており、 ChangeLog には変更履歴が書かれている。
また、以下に各フォルダの内容を説明しておく。
- ace:ACE ツールキットのソースコードが格納されている。
- bin:便利なユーティリティが格納されている。
- apps:ACEを利用した各種アプリケーションプログラム(例えば JAWS HTTPサーバなど)が入っている。
- docs:ACE に関する各種ドキュメントを含む。
- examples:ACE の各クラスやフレームワークを利用したサンプルがカテゴリ分けされている。
- include/makeinclude:ACE をビルドするためのファイル群が含まれる。
- tests:ACE の回帰テストスイートが入っている。
2.3 ACE のビルド
以下は Visual C++(Ver.6 および .NET)以外におけるビルド方法である。VC の場合には ACE_wrappers/ace/ace.dsw または ace.sln ファイルを開き、ビルドコマンドを実行すればよい。
ACE のビルドには ACE_ROOT 環境変数を指定しておく必要がある。windows のコマンドプロンプトであれば「set ACE_ROOT=C:\ACE_wrappers」、Unix系プロンプトであれば「export ACE_ROOT=/usr/local/src/ACE_wrappers」などとなる。
ソースコードパッケージを展開して、上のように ACE_ROOT 環境変数を設定したら、$ACE_ROOT/ace/config.h ファイルを作成し、次のような内容を記述する。
#include "ace/config-win32.h"
これはwindows(cygwin以外)でのビルドの場合である。Cygwin の場合にはファイル名が「config-cygwin32.h」になる。
続いて、$ACE_ROOT/include/makeinclude/platform_macros.GNU ファイルを作成し、こちらにも次のような文を記述する。
include $(ACE_ROOT)/include/makeinclude/platform_mingw32.GNU
上は MinGW によるビルドの場合の設定である。他の環境の場合は、適宜同様の「platform_xxx.GNU」を利用すること。
2つのファイルが用意できたら、プロンプトのカレントフォルダを $ACE_ROOT/ace に移動させ、make コマンドを実行する。
make に続いて以下のオプションを指定することもできる。
- debug=1|0:デバッグバージョンのライブラリとするかどうか。デフォルトはデバッグ(1)。
- optimize=1|0:コンパイラ最適化を利用するかどうか。デフォルトはOff(0)。
- inline=1|0:関数のインライン展開を行うかどうか。デフォルトはOn(1)。
- static_libs=1|0:スタティックライブラリをビルドするかどうか。デフォルトはしない(0)。
2.4 ACE をアプリケーションに利用するには
- ACE ヘッダファイルをインクルードする。
システムヘッダファイルや固有ヘッダファイルをインクルードするより前にACE のヘッダファイルをインクルードする。これは ACE がプリプロセッサマクロを定義し、システムヘッダなどの動作を変更する可能性があるからだ。
また、コンパイラのインクルードサーチパスに ACE_wrappers(あるいは同様に ace フォルダを含むフォルダ名)を登録しておくこと。
- ACE ライブラリにリンクする。
Unix系システムの場合は「-lACE」オプションを付加してコンパイル・リンクすればよい。この時、リンカのサーチパスには該当のライブラリ(例えば libACE.a など)を発見できる状況にしておく必要がある。
共有ライブラリを利用してビルドした場合、実行時には該当ライブラリが必要となる。特に windows の場合には該当の DLL にパスを通す(PATH環境変数を調整する)必要がある。
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